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2007/07/02

至福の峪

20070630tani01
光輝く峪でロッドを振るgodzillaさんとシステムチェック中のシャックマンさん
K10D F22 1/4sec

初めての峪に無性に行きたくなる時がある。
あのカーブの向こうには、あの堰堤を越えたら、一体どんな流れが目の前に広がるのだろう。そしてどんなサカナとの出会いが待っているのだろう…。
ちょっぴりの不安と抑えきれない高揚感の中で、ロッドを振り流れを遡る幸せ。
そう言えば、久しく初めての渓に行ってないな。
そんな僕の思いから、今回の釣行は始まった。

元々釣行を予定されていたgodzillaさんとシャックマンさんと打ち合わせの上、向かったのは信州のとある渓。峪の奥にはヤマトイワナがひっそりと生息している。
初めての渓でヤマトイワナに逢えるなんて何だかとっても素敵だな。
それぞれの期待を胸に僕達は早速駐車したポイントから支流に沿う林道を登り始めた。
ところが、前夜に降った雨の影響なのか、川は一見して完全なる乳白色の濁流。
どうやら、とても竿を出せる状況じゃない。
一瞬、引き返して別の渓への転戦という選択肢が頭をよぎったけれど、もしかすると上流に流れ込む沢には濁りが無いかもしれない。
僕達はそこに一縷の望みを掛け、小一時間のトレッキングをして峪を登ることにした。
たとえ無駄足になったとしても、まぁ運動不足の僕達、たまには少し歩かなきゃね。
途中堰堤を越えたり、2匹の野犬に絡まれたりと(笑)、都会の織りの様なものを汗と一緒に吹き出しながら、僕達はやっとのことで目指す沢の合流点に辿り着いた。
ふぅーっ、一息つく間も無く息せき切って沢の流れを覗き込む管理人。
おぉ、果たしてそこに濁りは…無かった!
やりましたね♪。3人で喜びあいつつ、早速クリアーな流れにロッドを振る。
間もなくして僕に初めてのイワナが来た。

20070630iwana01

白斑がありニッコウイワナとの交配種のようだけど、背中の紋様と側面のパーマークがとても印象的だ。6寸ほどだけど、一縷の望みに賭け苦労して山を登って来た結果の一尾というだけあって、僕はとっても嬉しかった。

Shakkuman01沢はどんどん山奥に入って行き、暫く行くと暗く鬱蒼としてくる。
とてもじゃないけど、ちょっと独りでは来れないような雰囲気の沢だ。
流れは増水気味で毛鉤を流せるポイントが限られている上木々が覆いかぶさり、僕達はキャストに随分と苦労させれた。
それでも僕達は淵を巻いたり岩をよじ登ったりして、遡れるところまで沢を詰め、心行くまでイワナを追いかけた。
まぁ、あまり釣れなかったけどね(笑)
右写真は、小ぶりながらも純潔っぽいヤマトイワナを取り込み中のャックマンさん。
この渓の落差を物語るような写真でしょ。シャックマンさんこの日は絶好調だったなぁ^^
もうこれ以上は登れないっ、ってとこまでよじ登ったところで、今度は今来た道を1時間以上かけて引き返す。
当たり前のことだけど、登ったものは下る必要があるからね(笑)
ペットボトルはもうとっくの昔にに空になってしまったし、足もちょっと痛くなり始めたけれど、「いちかばちかの賭け」が実を結んだことで、上りより随分と弾んだ声でアレコレ喋りながら、峪を降りた僕達。何とか車まで戻ったところで遅めのランチとなった。
ちょっとした川原でのランチだったのたけど、拭く風か頬を撫でて僕はとても気持ちよかったなぁ。godzillaさん、いつもながら美味しい珈琲ご馳走様でした^^

午後は、先ほどの沢より開けた別の峪に潜り込んで、引き続き3人でワイワイ釣り上がる。ここはトップの画像のような渓相で、とてもロッドが振り易い。
まさにフライフィッシング向きの渓だ。
初めのうちは反応が薄かったものの、暫く行くとサカナの反応が随分と良くなり、僕達は次々とイワナを掛け損ね、バラシ(笑)、そしてそのいくつかを手元に引き寄せた。
ところが、なかなかサイズが出ない。まぁサイズを求めて釣りをしている訳じゃないのだけど、大体が6寸以下。大きいのも時には出るのだけど、直前で見切るのか、スッポ抜けたり、なかなかフックせず、これが悔しくて僕達はお互い苦笑いを繰り返した。
僕の場合、きっとドラグのせいだと思うのだけど、それなりにスレているようで未踏の源流域のイワナのようにはいかないようだったな。それでも、首をかしげつつ皆でアレコレ相談しながら、流れを前に思考するのが僕にはとても愉しかったし、他の二人も同じく愉しんでいるようで、僕はそれがとても嬉しかった。

そうこうしているうちに日も傾いてきて、峪もいよいよイブニングの時間帯。
この頃になると、サカナの出方も幾分、僕達に優しくおおらかになって来たようで(笑)、良型も素直に水面を割ってくれるようになってきた。
まず、godzillaさんが8寸をキャッチし、僕にも7寸強が来た。

20070630yamato01
白斑の少ないヤマト系のイワナ(クリックで拡大)

一口にヤマトイワナと言っても、きっと白斑の有る無しだけでは語れないし、地域や渓毎に特徴も違って不勉強の僕なんかには判断がつかないけれど、いつも見慣れているイワナと違う美しさはやっぱり僕を魅了する。学名 Salvelinus leucomaenis japonicus。
このイワナ達の固有の種と特徴が大切にされることを祈りつつ、僕はその荘厳さを漂わせる魚体をリリースした。

20090630tani02
K10D F13 1/2sec

峪が少しずつ暗くなるのと反比例するかのように渓はますます活気を帯び、
いよいよこの日のプライムタイムを迎えたようだ。
2つの筋が合わさるラインに#12の毛鉤をポトリと落とす。
筋が合わさってからすぐ、僕の毛鉤が小さな波紋とともに消えた。
きたっ!
一呼吸置いて右手をあおると、ロッドがグッと弓なりに絞られる。
膝を折り腰を落として堪えながら、まずは慎重に流れをひとつ下らせる。
なかなかの引きだ。
竿を立てて一気に取り込もうとすると、グィーンと力強く走ること二回。
素晴らしい野生に、僕は息を呑んだ。
そんなこんなで、後ろで見守られていたお二人をヒヤヒヤさせながら(笑)何とか取り込んだのは、見事なヤマトイワナだった。

20070630yamato02
尺には届かなかったけれど、僕にとっては至福の泣き尺ヤマト(クリックで拡大)
K10D F4.0 ISO400


愛機のファインダー越しの見事な体躯に感動しながら、僕はシャッターを何度も切った。
初めての渓で、初めての泣き尺ヤマト。もう最高の気分だったな。
その後、シャックマンさんにも同サイズが出て、godzillaさんはとっくにツ抜けて竿頭。
朝、林道を登りながら白濁の流れを見たときはどうなることかと思ったけれど、終わってみればシャックマンさんをして「今季最高の釣行」と言わしめる結果になった。
「それにしても良かった…。最高だったね」
3人が3人とも心地よい疲れの中、充実感と満足感に包まれ、車へ戻る道すがらそんな言葉ばかりが口をついて出る。
車までの数十分、皆のLEDライトでほんのり明るくなった林道に僕達の笑い声だけが響いた。ほんとにいい釣行になったな…。
またいつか絶対来ましょう!
そう言って僕達は、遙かなる峪から都会の日常へと車を滑り出させた。

この峪への釣行をご提案して頂いたgodzillaさん、疲れも見せず行きかえりの運転をして下さったシャックマンさん、そして貴重な情報を教えて頂いた仲間のRollyさん、本当に有難うございました。

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コメント

こんばんは!
>「ちょっと独りでは来れないような雰囲気の…」
ありますよね。自分なんかはいつも里川でダラダラやっているので
ときどき信州の方に出掛けるとそういう雰囲気を感じることがあります

でも、こんな素晴らしい魚が棲む”至福の峪”なら、ついフラフラと行ってしまいそうですが…やっぱり恐いなぁ。熊出そうだし(笑)

投稿: taro | 2007/07/02 21:36

洋さん、毎度です。

お~~~グッドなヤマトイワナ、お見事!!

我々も昨日源流域に釣りに行ってきました。 水量&天気も最高で軍団の連中5人でおおはしゃぎの釣となりました。 サイズこそ出はしなかったけど、透けたような肌のイワナ達に遊んで頂き感謝感謝の一日でした。 源流はちょっと違うあの空気が心を癒してくれますよね。 ちょっと危ない動物たちも居ますけど、あの空気を味わうにはそれも覚悟のうえですから仕方ないですけど・・

また機会があれば何処かの峪でご一緒して下さいね!!

投稿: 山猿 | 2007/07/02 21:47

洋さん、こんばんは~!!

これが噂に聞くヤマトイワナですか~。
朱点の具合もそうですが背中の模様も変わっていますね。
白点のないイワナはたまに僕の地元の渓でも釣れることが
あるのですが、おそらくは放流モノに混じってくるようです。
北陸ではムハンイワナが在来種としてかつていたそうですが
まだお目にかかったことが無いので一度釣ってみたいものです。
いよいよ夏のイワナのシーズンですね。

投稿: ita-gon | 2007/07/02 22:04

こんばんわ♪
最初の写真は、ちょっとこの辺りにない雰囲気の渓じゃないすか。
雄大な自然の中で、泣きっすか。
これが楽しくて、また行っちゃうんですよね。

投稿: narukawa119 | 2007/07/02 22:18

洋さん、こんばんは~っ^^!
土曜日はお疲れさまでした&お世話になり有難うございました。
小一時間のトレッキングで辿り着いた峪が濁っていなかったのを
見つけたときは嬉しかったですねぇ~。それに入渓して直ぐ
洋さんがヤマトイワナを釣り上げたときはウハウハ確定!と
更に喜びましたが、ぬか喜びでしたね(笑)。まぁそれが
渓流釣りの面白さ…なんでしょう。
それにしても、泣き尺ヤマトの写真、ナイスですねぇ~。
夕暮れが始まっていた時間でこのクオリティ、さすがですたい。
行き帰りの車中も相変わらず賑やかで、疲れを覚えることなく
帰宅できました。いろいろタメになる話もできて良かったですよ~。
今度は濁っていた川のほうも釣ってみたいですね。
またご一緒してください。

投稿: godzilla2004 | 2007/07/02 22:44

taroさん、毎度です!
一本目の沢はですね…、やっぱ独りじゃ怖いです^^
暗いし落差はあるし熊は出そうだし(笑)
でも、そんな環境だからこそ、ヤマトイワナが
ひつそりと暮らしていけるかもしれないなと思いました。

taroさんも今度トレッキングやりましょう!
夏のプチ源流、左俣なんていかがですか^^

投稿: | 2007/07/02 23:46

山猿さん、こんばんは!
もうこのヤマトイワナは、最高でした。
泣き尺の泣きは、今回ばかりは嬉し泣きでしたね(笑)
やっぱり夏の源流の雰囲気はいいです。
直射日光があっても、涼しく爽やかな風にすぐクールダウン
できますし、別天地で釣りをしている幸福感に癒されます♪

そうそう、今回はエキップのデビューにも最高の釣行でした^^
エキップ&ペンタコンビで、是非ご一緒しましょう!

投稿: | 2007/07/02 23:53

ita-gonさん、こんばんは!
背中の紋様も特徴的ですよね。
釣り上げるサカナ毎に、紋様や斑点の色になかが、
微妙に特徴が違っていてとても興味深かったです。

北陸の無斑イワナですか。一度見てみたいですね。
イワナにも地域ごとにいろんなイワナがいて、彼らの生い立ちを
考えると興味が尽きません。
今度、その手の本を読んでみようかな^^

投稿: | 2007/07/02 23:58

narukawaさん、毎度です!
初めての渓でしたが、すごくいい雰囲気でしたよ^^
里川に、小渓流に、山岳渓流…。
季節ごとにいろんな表情を見せてくれるそれぞれの渓には
また違った魅力があり、それを自分の好みで満喫できるフライフィッシング、
やっぱやめられませんね(笑)

narukawaさんも、そろそろ黒部の準備では^^

投稿: | 2007/07/03 00:04

godzillaさん、こんばんは!
土曜日はお世話になりました。
あそこで、上流を目指す決断をされたgodzillaさん、流石でした^^
お陰でいい汗かいて、綺麗なイワナに逢えたわけですからネ!

解禁の時もそうでしたが、K10Dの感度優先モードは
イブニングの強い味方ですね。
僕みたいなくなちょこカメラマンでも自動で露出とシャッター速度を
決めてくれるので助かります。
今度は、godzillaさんのをバッチリ撮りますからね^^

そうそう、濁りがあった方の渓はまた行かなきゃなりませんね。
でも、堰堤を巻くのとあの野犬はゴメンです(笑)
また、ご一緒しましょう!

投稿: | 2007/07/03 00:11

洋さん、こんばんは。

戦艦ヤマトですね。もうムズムズしております^^
この季節の1時間はかなりハードですね。
たぶんあそこですね^^

あの野犬?首に無線か何か付けていませんでしたか?
次回行かれる時是非、お供させて下さい。
足手まとい覚悟でね!!

投稿: attuu | 2007/07/04 21:32

洋さん、こんばんは!
澄んだ流れをもとめてのトレッキングおつかれさまでした。
濁るまではいかないけど、増水で活性の上がった魚たちとの至福のひととき、皆さんの好判断と汗の賜物でしたね。
でもチョッと私には真似できないかな。
このところ、私は車から5分圏内で釣りのできる川が限界になってます。夏に向けてリハビリ頑張りますよ~。

投稿: ねねこ | 2007/07/05 21:57

attuuさん。こんばんは!
戦艦ヤマト、最高でした^^
で、attuuさん、この渓のことご存知でしたか!
僕は大の野犬嫌いなので、対応は同行のお二人に
お任せしました^^ヾ

次回行くときは、足手まといどころが、
是非野犬対応のほうもヨロシクお願いします(笑)

投稿: | 2007/07/05 23:11

ねねこさん、毎度です!
いやぁ、歩いた甲斐がありました(笑)
いよいよ、山岳渓流の季節ですね。
ねねこさんも腰の様具合が良ろしければ、また左俣あたりで
ご一緒したいですね(もちろん無理なさらない程度で)。
昨年はお互い飛騨牛も食べ忘れましたし、
今年こそは泊まりで遠征したいですね^^

投稿: | 2007/07/05 23:16

洋さん、こんにちわ!!
凛々しいヤマトを釣り上げられた様子。
何とも羨ましいです。
先日、木曽のお気に入りへと寝坊をしながらも
クルマをかっ飛ばして行ってきましたが
サカナたちが留守をしていたようで
タナビラにかろうじて会えただけに留まりました。
イブニングも不発だったので、
またリベンジに行こうと思っております。
その時はご一緒してくださいな!!

投稿: terry | 2007/07/08 13:37

terryさん、こんばんは!
ただいま独身生活中なのでこんな時間まで
起きちゃってます。

木曽行きましょう!
暑いときこそカレーですしね(笑)
イブニングのリベンジも真っ暗になるまで
お付き合い致しますよ^^

投稿: | 2007/07/09 01:52

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▲撮影は洋さん。(まぁオッサンモデルのクオリティ云々は不問とにしていただいて…)デジイチならではの素晴らしいクオリティの写真です。山々に囲まれた渓流の雰囲気がよく表現されています。 ※「遥かなる山の呼び声」が聞こえるような渓流で気持ち良くロッドを振るオッサン。その後でシステムチェックしているのはシャックマンさん。 ■シャックマンさんとどこかへ釣りにでかけることが決まったは釣行の数日前。その段階では目的(地)の溪が決まっていたわけではありません。そんな折、洋さんから連絡があり、(紆余曲折を経て... [続きを読む]

受信: 2007/07/02 20:58

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