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2007/03/10

フライフィッシングの達人

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この渓らしいアマゴに見入るtaroさんとニッコリ見守るgodzillaさん

その日の寒狭川上流はおよそ僕達の予想だにしない天候となった。終日、雪が舞うどころか、時折吹雪が僕達の顔に吹き付けるような悪天候。

2007030802_1先週末のポカポカ陽気が嘘みたいな、想定外の厳寒の中での釣りだ。
せっかく休みを取っての平日釣行なのになぁ。まぁ、これも気まぐれな天道様の仕業だから仕方ないか。気温は0度アタリを行ったりきたりだし、水もツララができるほど凍てついていて、とてもじゃないけどハッチなど期待できる状況じゃなかった。
結局、終日そんなタフコンディンション下での釣りだったけれど、帰りの運転席で「楽しかったなぁ」と心から思えたのは、同行の二人のお陰に他ならない。


その日、午前中から僕達はそれこそ厳寒の渓を釣り上がっていった。godzillaさんとtaroさんと僕、交互に前後ろになりながら小さな渓を進んでゆく。渓の規模からすれば間違いなく定員オーバーだし、魚影が濃い訳でもない。そもそも活性も極端に低いのだから、サカナを掛けるのは至難の技だ。その上、この時期の寒狭上流は枯れ木が藪のように覆いかぶさり、僕みたいなへなちょこキャスターがいいドリフトを決めるのはひと苦労だ。それでもポイントを譲り合い、アレコレ話をしながら僕達は賑やかに渓を遡った。
「いやぁ、このラインで出ないかっ」
「うーん、5月あたりならいまのとこでバシャッですよ」
「ところで今水温1℃ですけど(笑)」

『釣ること』が一番の楽しみなら、こんな状況下で釣りをすること自体きっとナンセンスなのだろう。事実、僕はその日一日中歩き回って4度ほど毛鉤に出たのを全て掛け損ねただけだったし(笑)、godzillaさんとtaroさんも取り込んだのはたったの1尾ずつだったのだから。それでも僕達はその日の釣行に十分満足していた。20070308taro01_2
二人の掛けたサカナは小さくともとても可憐な美しいアマゴだったし、taroさんは僕達の中で唯一ドライでアマゴを仕留め、数日前の釣行のモヤモヤが払拭できたみたいだった。優しくリリースするtaroさんのネットからアマゴが戻っていくを様子を見ていると僕達もtaroさんと同じくらい嬉しく優しい気持ちになるのだ。
godzillaさんはサイトフィッシングで僕には全く見えずじまいの(笑)アマゴを見事に釣り上げてニッコリ。まぁ、その直前に8寸強はあろうかというアマゴをバラした時は、皆で大笑いしたのだけど。そうそう、逃げて行くアマゴの様子を細かく描写して傷口に塩を塗ったtaroさん、最高だったなぁ♪
僕は僕で、見よう見まねで巻いたCDCカディスや、密かに巻き貯めた新型CDCダンを試したり、よく潜り込む支流にある単なる廃屋だと思ってた建物が、実は昔の森林鉄道の駅舎だったとtaroさんから聞かされて往時に思いを馳せたりして、僕達の濃密な時間はあっという間に流れていった。

2007030805_2 数を釣ったり、大物を釣ること、サカナを掛けることそれ自体を至上の喜びとするフライフィッシャーも恐らく沢山いるのだろう。だけど正直なところ、右も左も分らなかった駆け出しの頃に比べ僕はそんなことにあまり興味はなくなったし、何種類かの毛鉤のローテーションで放流したての魚を何十匹釣りましたと言われても、それはそれで凄腕だし僕にはマネできないと思うけれど、そうなりたいとも思わない。だからと言って、数釣り・大物釣りに価値を見出している方を否定するつもりもないし、ただ目指す方向が違う、それだけのことだ。(結果として尺上が釣れたり数が出るのは僕もすごく嬉しいのだから。)

むしろ、この日のように厳しいコンディション下でも、周囲の状況に気を配り、ストーキング、毛鉤のチョイス、ドリフトも含め、アレコレ試行錯誤しながら釣るまでの(例え釣れなくても)過程を楽しむことができるフライフィッシャー、そして仲間と一緒なら仲間も自分も皆で楽しめるような気配りができるフライフィッシャー、僕にはそんなフライフィッシャーこそ素晴らしいと思えるし、そうありたいと思える理想の『フライフィッシングの達人』なのだ。

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春の天候は気まぐれだし、そもそもこの都会近郊の荒廃の進む里川に、岐阜や長野の渓と同等の魚影を求めることはできない。それなのに、毎年この渓の年券を買って通うのは、ここの長閑な雰囲気が好きで、そんな中で逞しく生きる渓魚を愛しく思うからだし、そんな彼らと出逢う少ないチャンスをものにする試行錯誤が楽しいからに他ならない。それこそが僕のフライフィッシングの基本だ。この日、同じ思いの仲間と一緒に釣りができたお陰で、そしてむしろタフコンディションだったからこそ、僕は自分のそんな気持ちを改めて見つめ直すことができたのかもしれない。

釣りを終えフィールドを後にした車が名古屋市内に入ると、当然の如く雪は消え、喧騒の中せわしなく車が往来していた。そんな光景を眺めながら、僕はさっきまでいた雪の舞うフィールドに思いを馳せる。
今日、底石の影でじっとしていたサカナ達も、もう少し季節が進めば活発に動き出すだろう。その頃にはもしかすると山桜が見ごろかもしれない。峪は陽に溢れ、枯れ木は新緑にとって代わり、野鳥達も活発に囀り始めるだろう。輝きを取り戻した渓で、僕は可憐なアマゴやイワナと遊ぶのだ。無垢な彼らをリリースしながら、ふとした拍子に、仲間と笑いあった今日という厳寒の一日を思い出すのかもしれない。
そしてそんな想い出の積み重ねこそが、盛期の渓を、そして僕にとってのフライフィッシングをよりいっそう輝かしてくれているのだ。
そのことに僕は気づいた僕は、春爛漫の渓でとても満ち足りた気持ちになって、さらに上流を目指しているに違いない。
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コメント

洋さん、こんばんわ!!
平日釣行なのに、他にもよく知ってる顔が・・・(笑)
春の嵐の中、楽しまれてこれたようですね。
“サカナ釣り”って遊びだから、釣れると面白いのだけれど
釣れないからこそ、面白いと感じるコトもしばしば。
ああでもない、こうでもない。なんて釣りをしてる時って最高の時間です。

投稿: terry | 2007/03/10 23:35

洋さん、こんばんは~!
一緒に渓を釣りあがって傍で見ているだけでも
充分楽しめる、そんな時間はいいですよねぇ。
友人が釣ったサカナでも自分が釣った以上に
興奮するし、喜びも分かちあえるそんな仲間との
釣りはサイコーです。
僕は仕事が一段落する5月頃までは平日の単独釣行
ばかりなので、早く仲間と釣りに行きたいです。
もうちょっとの辛抱、辛抱。

投稿: ita-gon | 2007/03/11 00:04

洋さん、こんばんはっ^^♪
木曜はお疲れさまでした&お世話になりました。お互い、平日釣行を満喫
しましたね~(笑)。
当方、ランチ前の小プールじゃ、無用な解説して合せが遅れるし、合せ切れ
して良形ゲットできなかったり、すっかりお茶目なオッサン振りを発揮して
しまいましたが、翌日腹筋が痛くなっていた位笑い通しの一日でした。
それにしてもtaroさんの私がバラしたアマゴの描写、精細且つ臨場感溢れて
いて、こちらは言い訳するしかできませんでしたよ(笑)。
今回のエントリー、洋さんのフライフィッシングに対する想いがストレートに
伝わってくる内容で、まさに同感です。「釣果(数)至上」でも「サイズ至上」
でも構いませんが、それだけをわき目もふらず追い求める…なんてことに
労力費やしたくはありません。アソビなんですから。それに数もサイズも
望めない?寒狭川だけに「数釣り命」「サイズ命」って釣り人が余り訪れない
ことが「心地よい」のかも知れません。
「春まだ遠し」(笑)の寒狭川上流でしたが、暖かくなったらまたお付き合い
くださいね。

投稿: godzilla2004 | 2007/03/11 00:40

terryさん、おはようございます♪
平日なのに、何もわざわざあんな日に釣行しなくても…
って釣行日決めたの僕なんですよね(笑)
おっしゃる通り釣れない時の試行錯誤が面白いんですよね。
その結果1尾でもキャッチできたとしたらカタルシスが
爆発して、大声が出るわけですよね^^ヾ

terryさんも落ち着かれたらご一緒しましょう!

投稿: | 2007/03/11 08:59

ita-gonさん、こんにちは!
仲間と釣り上がると、単独釣行のときとは
また違った楽しさがありますよね。
譲ったり譲られたりして、誰かがサカナを
キャッチした時の喜びやバラした時の盛り上がり(笑)は、
普段の何倍にもなりますもんね♪

それにしてもita-gonさん、これから平日の単独釣行ばかり
なんてそれはそれで羨ましいですよ^^

投稿: | 2007/03/11 11:05

godzillaさん、こんにちは♪
先日はお世話になりました。
大変な天気の日に誘ってしまい申し訳なかったです(笑)
それにしてもあのプールは面白かったですね。
あの状況で良型のアマゴを掛ける所まで持っていかれた
のは流石godzillaさんでした。
そんでもってバラした後のオーバーアクション!
ひれも流石にシリオの筆頭だけあって
今思い返しても笑えます(失礼!)

もう少し季節が良くなったら、BILLさんも交えて
また皆で大行列したいですね。
数や型は望めませんが、それにこだわる仲間じゃないですから。
今から楽しみですね♪

投稿: | 2007/03/11 16:15

こんばんは!水温1℃のタフコンディションの中お疲れさまでした。
私が仕事している温暖な蒲郡でも最低気温が1℃くらいだったんで上寒狭はほんとに寒かったでしょう。風邪などひかれませんでした?(娘さんにうつしたら大変ですよ~)
まだしばらくは釣りにいけそうにない私ですが、もう少し温暖になって魚も人もコンディションが上がった頃、上寒狭に“ン十年ぶりに”お邪魔したいと思いますので、またご一緒してくださいね。

投稿: ねねこ | 2007/03/11 20:29

洋さん、お疲れ様です~~!!!

もうね、そういう意味では洋さん、フライフィッシングの達人ですし、僕もそんな洋さんから教わることは沢山あります。笑わせてもらうこともね。

実は僕も土曜日に似たような本当に楽しい一日を満喫してきましたよ~!釣果至上主義者たちには目にも留まらないような渓ですが、友人がとても大切にしてる流れ。そんな流れに誘ってもらう僕も「初めての渓を歩く悦び」を十分満喫させてもらいましたよ♪

投稿: Rolly | 2007/03/11 20:49

洋さん、こんばんはっ!
事前に皆さんの釣行日をお聞きした際「その日は何かの祭日
だっけ?」とカレンダーで確認してしまいました(笑)。
予想外の天気、厳しいコンディション、それでもその日を
すばらしい釣り人たちの祭日に変えてしまったのは、
心からFFを楽しまれている皆さんのなせる業でしょうね♪

投稿: BILL | 2007/03/11 23:21

ねねこさん、こんばんは。
正直、想定外の寒さでした(笑)
昼過ぎたら暖かくなりますよっ、なんて言ってたんですが、
午後になったら更に吹雪いてきて、
一番暖かく感じたのは帰り支度をしている時でした(^^ヾ
あの辺の季節の進み具合は、今年僕らが思ってるほど
早くはないのかもしれませんね。
そういう意味ではねねこさんがいらっしゃる頃が
ベストかもしれません。是非ご一緒しましょう♪

風邪は大丈夫です。帰りにgodzillaさんとお好み焼き食べて
暖まりましたからね^^

投稿: | 2007/03/12 00:17

Rollyさん、毎度です!いやいや、僕なんてまだまだですよ。
エントリーの様な考え方と言うか、スタイルというのは
ここ1,2年で僕の中で育まれていったものだと思います。
そういう意味では、godzillaさんやRollyさん達に影響を
受けた部分が大きくて、この時期に皆さんとご一緒できたことは
僕のFFライフの中でとても幸せなことだったなぁと感じてます。

もちろん、いろんなテクニックも大切ですし、それを学んで
いろいろスキルアップしていきたいとも思ってますので、
こちらこそ、またいろいろ教えてくださいね♪

投稿: | 2007/03/12 00:25

BILLさん、こんばんは♪
あはは、僕が画策したその日は、何かの祭日でもなかったし
勿論100%「釣り日和」でもなかったですね(笑)
それでも、いい一日になったと思える僕らは幸せだと思います。

当日、同じく寒狭上流を愛するBILLさんもいればなー、なんて皆で
言ってましたんで、次回は絶対ご一緒しましょうね♪

投稿: | 2007/03/12 00:32

こんばんは。遅くなりましたが先日はありがとうございました
久しぶりに出掛けた上流部でしたが、あの雪…
でも、2月下旬解禁の寒狭では、本来体験できない気候ですので、自分としてはむしろ「得」した気分でした
そして何よりも、小さな渓を釣り上がる喜びを久しぶりに味わい、1ヶ月遅れの”本当の解禁”を迎えた気持ちになりました

今度は”本当の盛期”に、またご一緒しましょう!

投稿: taro | 2007/03/13 01:41

taroさん、こんばんは♪こちらこそ有難うございました。
午後に本流に連れて行って頂いたことも、感謝しております。
僕としては、taroさんの「解禁」を、アマゴ飛び出す瞬間含めて
この目でしっかり確認することができ光栄でした^^

もう少し季節が進んだら、またご一緒しましょうネ!
でも、今度は流石に平日という訳にはいかないだろうなぁ(笑)

投稿: | 2007/03/15 00:43

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» ■奇妙な価値観 [一から出直し修業的毛鉤釣]
▼撮影は洋さん。「寒さ」を充分に感じさせてくれるナイスショット(笑)。 ※数日前までの春そのものの陽気がウソのように冷え込んだある日、taroさん、洋さんと共に寒狭川上流の溪でフライフィッシングを楽しみました。 ■taroさんとのランデブー地点へ洋さんと到着したのは午前8時少し前、外気温はマイナス1℃を指しており、真冬並の渋い釣りを覚悟しなくてはならないようです。寒狭川上流域はtaroさん、洋さんのホームリバー、稚魚放流だけ、もしくは放流が行われていないのどかな里川をテンポ良く釣り上がるのが... [続きを読む]

受信: 2007/03/11 00:25

» 賛歌 [taro's magazine "side B"]
 このオフシーズンは、いろんなところへ出掛けた  見たこともないようなサイズのレインボーを釣り、100匹単位の魚が目の前で群れている釣り場へも行った  2月に入ると、解禁日の渓流へも出掛けた  土手から竿を出す釣り人や、プールに1列に並んでキャストするフライマンたちの間に入ったりもした  でも、やっぱりこの寒狭川で、小さくても抜群に可愛いアマゴを釣りたかった  もし釣れなくても、その姿を確認できるだけでもいいとさえ思った  降りしきる雪の中、いつもよりキャストする時間が短かっ... [続きを読む]

受信: 2007/03/13 01:15

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