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2006/07/08

石徹白 夕暮れ 尺イワナ

20060701itoshiromrbill
高速を抜け、早朝の峠道を車が駆け上がる。
僕たちが目指すのは、今年3度目となる岐阜県は石徹白川支流峠川のC&R区間だ。
やっぱ年券買っときゃよかった…、そう思いつつ滑り込んだスキー場前の駐車場には既に数台の車があった。ダスクの店長さんも既に入渓済みのようだ。
7月に入ったばかりのこの日、曇天の空からは小雨がぱらついていたけれど、目の前の流れは前に来たときよりも明らかな減水。僕達に渋い釣りを予感させた。
ウーン、コイツはちょっと手を焼きそうだ。

この日、初対面となったシャックマンさんにご挨拶させて頂いた後、早速二手に分かれて流れに散る。godzillaさんとシャックマンさんは下流から、僕はBILLさん(TOP写真)と組んで、駐車場より少し上手の流れから入渓した。
先に支度の整った僕から釣り始めることになり、まだ朝靄のかかる水面に毛鉤を投じる。「やっぱり朝の渓は気持ちいいっすね」なんてBILLさんと会話しながらの数投目。
ツツーとヒラキをなぞった僕の釣り上がり用CDCダンに白い飛沫が上がった。
予感とは裏腹にあっけなく鉤掛かりしたサカナを慎重に寄せてみると、8寸程のアマゴ。

20060701itoshiro01

なかなか幸先のいいスタートに「ひょっとして今日は爆釣かも」なんてほくそえんだ僕達だったけど、Reality Bites。そうは問屋がおろさなかった。
プールにはたくさんのサカナの姿を確認できるし、毛鉤も少しは見に来るんだけど、いかんせん水面を割ってくれない。やはり石徹白のサカナは学士級だ。流れから出るサカナはどうも小さいようで、フッキングに手間取った。それで「やれやれ」なんて次の一歩を踏み出した途端、足元から突然大きい影に走られたりする(笑)。
渇水に加えてハッチもほとんどない状況を打開する引き出しもなく、自らの未熟さを思い知らされるハメに。んー、マイッタな。

でも、石徹白って、ユキシロの落ちきった時期のドライでビシバシ!みたいな大らかな顔があるかと思えば、毛鉤、ドリフト、流れの読み、全てのスキルが揃って初めてサカナと出逢えるというシビアな表情もある、僕はむしろそんなところに惹かれるのだ。
20060701itoshiro04そんな渋い状況下で午前中一番の見せ場を作ったのはBILLさんだった。とあるプールの大岩のキワで、見事尺上をヒット!あと少しで取り込みというところで、イワナのラストエフォートに痛恨のバラシ。いやぁ、惜しかった。大きく手を広げてWhy?のポーズのBILLさんだったけれど、昼間にあんなのを引きずり出したのは凄いよ。
その後、合流したgodzillaさんとダスク店長さん(上写真)と交互に釣り上がるも渋い展開に変わりは無く、結局午前中は入渓直後のアマゴと
チビアマゴ数尾に終わってしまった。うーむ。

20060701itoshiro02でも何はともあれ、ランチブレイク。お昼はシャックマンさんやたまたまその場にいらした FFMも加わり、6人で駐車場に座り込んで和気藹藹でお弁当をつつく。イブニングに入る場所を話し合ったり、プールを攻めるFFMの釣りを見物したり、godzillaさんの怪しげな発光フライを見せてもらったりとFF談義に花の咲く楽しいひと時だ。仲間との釣行ってこういう釣り以外のところが凄く楽しいな。単独釣行ではこうはいかず、パンと牛乳かっ込んですぐ釣り再開、もしくは、昼寝ってなるからなぁ。まぁ、そんな釣りも悪くはないんだけど、今日は最後にお三人が沸かしてくれた美味しい珈琲でランチを締め、心機一転午後の釣りへ。

午後は、godzillaさんと組んで、午前とほぼ同じコースを辿った。
昼を過ぎてようやく若干活性があがったのか、入ってすぐのところでようやくイワナが飛び出した。朝イチに続き、午後イチでの釣果。今日は何だか釣り始めに釣れる。そんなことならたくさん休憩を入れるかな~、なんて冗談はさておき、ランディングしたのは6寸ほどのイワナ。
20060701itoshiro03

小振りだけど凄く綺麗だ。こういう1尾に逢えるとほっとするのは僕だけではないだろう。
しばし、魚体を眺めてやさしく流れに戻した。
それから、結構な時間godzillaさんと交互に釣りあがったけれど、基本的に午前の厳しい状況にあまり変化はなかった。やはり、いわゆる本命の流れではほとんど出ない。プールのサカナも反応が薄い。唯一、巻き返しや淀みにしつこくそれはもうしつこく毛鉤を打ち込んで暫く留めると、やっとのことでバシャッと出る。後半は重点的にそういうポイントを丹念に狙って釣り上がった。
godzillaさんと「そこだ、あそこだ」なんて言いつつ、イワナのつく教科書的なポイントを叩くと目論見どおりに出てくれるんだけど、これがバラシやすっぽ抜け。挙句の果てに3連続バラシをやってしまい、さすがに二人で苦笑い。
まぁ、流し方もアワセも僕の中では許容範囲ってか狂いはなかったのだけど、石徹白のサカナの前ではまだまだ未熟だってことなんだろうな。(笑)

20060701itoshiroeve そんなこんなで、いよいよお待ち兼ねのイブニング。ランチ後に名古屋へ戻られた店長を除く4人でgodzillaさんお勧めのポイントへ入り、僕達は夕暮れ時を待った。
川原の岩に腰掛けて、一刻一刻と暮れていく遠くの山の稜線を見ながら、ティペットを交換したり、毛鉤を入念に結んだり、思い思いにその時を待つ。
(左写真は薄暮の渓に立つBILLさん)
高まる気持ちと正反対に何故か妙に感傷的になる自分もいたりして何とも言えないあの雰囲気、僕は大好きだな。
あたりでは、少しずつライズが始まっていた。godzillaさんによると、先週はここでヒゲナガの凄いハッチがあり30分でツ抜けしてしまったそうだ。今日はどうなんだろう。
7時30分過ぎて、恐らく先週ほどではないにせよ、ライズが幾分活発になった。
分刻みで暗闇の度を増していく峪の渓。待ちきれず、みんなが毛鉤を投げ込んだ。僕も急がなくては…。
濃紺の流れに、僕のイブニングの定番、なんちゃってライトケイヒルの#10を放り込む。
すると一発できた。まずは7寸ほどのアマゴだ。
さすがにイブニングだなぁ、と手早くリリースした後、同じ毛鉤を流れに乗せる。
でも、どうやらサカナのヌルで毛鉤がすぐ沈んでしまう。これじゃよく見えない。かと言って、毛鉤を換える時間もないので、一旦ピックアップ。ドライシェイクスプレーをかけまくって、真っ白になったライトケイヒルを再び流れに投じた。
暗く黒い流れにぼんやりと白っぽい毛鉤が浮かび上がる。これでよし。
少しホッとして、その白い毛鉤に目を凝らした瞬間、飛沫があがった。
反射的に竿を立てるとググッとしたサカナの引き!
闇の水面に白く大きい水しぶきが見える。
いつもの様ににすぐ寄せようとラインを引くと、ググッと更に潜ろうとする。
引きもズシッと急に重さを増し、3番のロッドが弓なりにしなる。
「でかいっ」そう声に出してしまうほどの引きだ!
思わず腰を落として、サカナの引きをロッドで持ちこたえる。
プールを少し下流に走られたところでサカナの動きが止まり、僕は少しずつラインを手繰った。暗くてサカナの位置がよく確認できないので、できるだけ水面と平行になるよう視線を落とし、水面に突き出たサカナの顔の輪郭を確認しながら慎重に寄せる。
もう少しだ!
運良くアゴの蝶番にしっかり鉤掛かりしていたようで、最後に竿を立てると、ソイツはすぅーっと水面を滑って僕のネットに収まった。よし!
ネットに入ったサカナの手ごたえは申し分ないのだけど、正直暗くてよく見えない。
手に入れたばかりのイブニングライトを点灯し、ネットを照らしてみると、青白いLEDの光にソイツの姿が浮かび上がった。

20060701itoshiro05

僕は思わず息を飲んだ。僕にとって人生初の尺イワナ。
でも僕はその31センチという大きさより、その美しさに圧倒されていた。ここ石徹白のサカナの特徴でもある太い胴回りがさらに太くなり、濃色に包まれた体つきは野生そのもの。ヌメリの光る体躯に控えめながらも鮮やかで美しい橙点が散りばめられ、サカナの息遣いに合わせて波打っている。このストロボ写真では、あの美しさは全く伝わらないと思うし、僕の拙い文書ではなおさらなんだけど、ほんとに素晴らしい姿だった。
僕自身、興奮してしまって暗闇での計測と撮影に手間取り、かなり疲れさせてしまったけれど、暫く流れに横たえてやるとユラユラと漆黒の流れに戻っていった。
青白いライトに照らし出されたあの美しい体躯と漆黒の淵に戻るシーン。
それが僕の脳裏に焼き付いて離れない。
光あふれる昼間に釣るより、かえって神秘的に見えたのかもしれないな。

釣りが終わった後、興奮冷めやらぬまま、僕は真っ暗の夜道を仲間と他愛もないおしゃべりをして歩いた。
ふと、4人のイブニングライトに照らされた小道の前方の暗闇に、フワフワとかすかに漂う光に気づいた。ほのかだけどとても温かい黄色い光。
ホタルだ…。
釣ったと言うより、釣れたという表現の方が的を得ているけれど、僕は仲間達と釣ったこの日の釣りのことをずっと忘れないだろう。夢のように漂うほのかな光をぼんやり眺めながら、僕はとても幸せな気分だった。

20060701itoshiro0

ご一緒頂いた皆さん、ありがとうございました。また行きましょう。

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コメント

洋さん、こんにちは。
今日は釣りに行かず、片付け仕事中のgodzillaです(^^ゞ。
人生初の尺上イワナ、おめでとうございます。その感動を詳細且つリズム良く伝えてくれる文章と写真、いつも以上に冴えてますね。
ブログの文章とリズム良く釣りあがる洋さんの釣りスタイルがシンクロして臨場感溢れたナイスエントリーでした!
また、どこかでリズム良く釣りしましょう!

投稿: godzilla2004 | 2006/07/08 14:10

godzillaさん、こんにちは!
godzillaさんのポイント選定の恩恵に
100%預からさせて頂きまして、ホント感謝です。

今日はお仕事だったんですか~。
僕は明日行ければ行きたいのですが、
いかんせん毛鉤が底をつきかけてます(笑)

追伸 例のモノ、本日ショップで手に入れました。ホント有り難うございました^^

投稿: | 2006/07/08 16:37

洋さん♪こんばんわ!!
初・尺イワナおめでとうございます!!
嬉しかったでしょ!!興奮したでしょ!!
ボクはフライフィッシングを初めてから初めての尺イワナを釣り上げた時
あまりに嬉しくって、思わずその場でケータイを取り出して
仲間にメールや電話をしまくった記憶があります(笑)
最後に蛍の光が漂うあたりも最高の演出ですね!
こりゃ〜忘れられない思い出になりますね!!!

投稿: terry | 2006/07/08 18:07

こんばんわ!。尺岩魚おめでとう御座います。
ですが、今の私にはホント、目の毒ですね~
この記事は見なかった事にしよう・・・(笑)。
何度も言いますが、ホントおめでとう御座います。

投稿: ライズ | 2006/07/08 20:48

terryさん、こんばんは!
いやー、嬉しかったです。
思わず大声だしちゃいましたね(笑)
もし一人だったら、誰かに電話してたかも
しれませんね♪
ホタルも綺麗で良かったですが、
今度は明るいうちに釣り上げたいな~
なんてちょっと贅沢ですね^^

投稿: | 2006/07/08 23:30

ライズさん、有り難うございます。
見なかったことになんかしないで
何回も見てくださいネ。
今度何時になるか分りませんから(笑)

いよいよ、復帰されんですね。
久々の釣り楽しんでくださいね♪

投稿: | 2006/07/08 23:35

洋さん、メモリアルフィッシュおめでとうございます!!

なんといっても、心にずっと残るであろう記念の1尾、それを石徹白で達成!ってのが羨ましいことです。
ボクが初めて釣った時には、まだ現在のC&R区間は禁漁区の頃でしたし、釣った場所も石徹白からはるか数百キロも離れたショボイ里川でした。でも、嬉しかったのは今でも鮮明に覚えています。

2匹目も3匹目もガンガン釣っちゃってくださいね♪

投稿: Rolly | 2006/07/09 02:07

洋さん、こんばんは!
先日はお疲れ様でした。朝は絶好調の兆しだったのに、厳しい一日でしたね。それでも最後の最後に決めちゃう洋さんの真骨頂、目の前で拝見させて頂きました。散々僕が攻めたポイントで、あっさり尺上を出しちゃうんですから。実力の差だと諦めがつきました(笑)。またご一緒させてくださいね!

投稿: BILL | 2006/07/09 02:44

洋さん、こんにちは。
体高があって、精悍な顔つきで「野生」を感じさせるかっこいいイワナですね。初の尺上おめでとうございます。
ていうか、最近絶好調の洋さんが、今回が初というほうが驚きでした。またよろしくお願いします。

投稿: ねねこ | 2006/07/09 10:04

洋さん、やったやないすか!
おめでとうございます。それにしても、どでかいイワナですね~。
次はおいらも釣るぞー。

投稿: narukawa119 | 2006/07/09 21:22

Rollyさん、こんばんは!
やっぱり石徹白は凄いですね。
思い出に残るサカナと石徹白という偉大な渓で
出逢えたのは幸運でした^^

実は今日もgodzillaさんと行ってきたのですが、
凄く楽しかったです^^
詳細は後日アップしますネ。
石徹白最高!

投稿: | 2006/07/10 01:05

BILLさん、お疲れ様でした♪
うーん、褒めすぎですよ(笑)
あれは、流したタイミングが良かっただけで
100%運ですよ。
毛鉤もくしゃくしゃだったし(^^ヾ

また、是非ご一緒して、逃亡した尺イワナに
逢いに行きましょうね!

投稿: | 2006/07/10 01:10

ねねこさん、有り難うございます。
なかなか尺上はキャッチできないです。
今日も石徹白に出撃したんですが、
尺上を1尾掛けたんですが、ランディングルートを
ミスってラインが岩と岩の間の小枝に絡まり
パラシちゃいました^^;
まだまだ修行が足りません。

腰よくなられたら、是非ご一緒させてください♪

投稿: | 2006/07/10 01:26

narukawaさん、どうもです^^
9寸と尺では全く別物で、1寸以上の差が
あることが身をもって分りました。
今回はイブニングの運で釣りましたが
次回は狙って実力で釣りたいなぁ…と(笑)
narukawaさんも、尺釣っちゃって下さい♪

投稿: | 2006/07/10 01:33

洋さん、おめでとうございます。
メチャ精悍なイワナで、獰猛さすら感じさせる顔つきに「勝負に勝った」感動を味わうことが出来そうですね。
これで、イブニングを釣らずに帰ることは出来なくなりましたね。

投稿: standy | 2006/07/10 10:55

standyさん、こんばんは!
有り難うございます。
でも、正直なところ「勝負に勝った」というより
「釣れちゃった」って感じですね(笑)
次は、狙って掛けた尺上を、ロッドワークを
楽しみつつ、きっちり取り込んでみたいです♪
って、そんな余裕ないだろうな^^;

投稿: | 2006/07/13 23:44

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